Friday, April 27, 2012

トマト・リコピン・健康

    「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺があります。トマトのこの高名は、(特に赤いトマトに)リコピンという成分を豊富に含んでいるからです[1]

トマトに含まれる栄養成分[7]
    リコピン:有害な活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用⇒ガンや動脈硬化などの予防効果
    ビタミンA(42μg (5%)):
    ビタミンC(14mg(17%)):
    ビタミンE(0.54mg(4%))
    ビタミンB6(トマトジュースの場合0.09mg[6])
    カ ロテン(Carotene; 640μg):抗酸化物質
    カリウム(Potassium;237mg(5%))
    食物繊維(Dietary fiber;1.2%)
    ルチンとゼアキサンチン(123μg):前者は血管を強化する
    クエン酸:疲労回復

     リコピン(リコペン、lycopene)は、緑黄色野菜(ニンジンなど)に含まれるベータカロチンの仲間で、その抗酸化(活性酸素を除去してくれる)作用はベータカロチンの2倍の働きがあると言われています。

    血液中のリコピンやビタミン濃度の低い女性は、子宮頚ガンにかかりやすく、また血中のリコピン濃度の低い人は、慢性大腸炎を起こしやすい。

    京都大学研究グループでは、「肝細胞などを用いたin vitroの解析結果から、トマト、特にトマトジュース中に脂肪燃焼作用を有する13-oxo-ODA(13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸)が多く含まれることを発見しました」そうです[2]

    喫煙者と非喫煙者では、通常は血中リコピン濃度は同じですが、タバコを3本吸うと、その害を消すために血中リコピン濃度が40%も減少してしまうそうです。

    老化や生活習慣病の予防をしたり美白効果を期待するなら、1日に15mgのリコピンを摂取することが望ましいです。

    但し、要注意なのは、普通のトマトジュースには塩分が入っていることです。普通のトマトジュースを毎食200mlずつ飲むと、摂取する塩分は約2.4gとなる[4]。 WHO(世界保健機構)が提唱する塩分摂取量の目安、1日5〜6gの約半分に到達してしまいます。因みに、厚生労働省で推奨されている一日の塩分摂取量の目安は10グラム以下ですが、高血圧の人は6グラムだそうです。高血圧治療ガイドライン2000年版では7g以下とされています[4]

    余談ですが、塩分の取りすぎで高血圧になるのは、「食塩感受性」(血圧が塩分に敏感に反応するタイプ)[5]の人に限るそうです。高血圧で食塩非感受性の人も結構います。そのような人たちは、減塩しても高血圧症を改善することはできません。

    フィンランドの研究者はトマト豊富の食事をすると、脳梗塞の防止効果があるという研究内容を発表しました。1031名の男性を対象に12年追跡して行われた研究で、血液にリコピン含有量が高ければ高いほど脳梗塞が発生しにくいという結論が得られました。


参考リンク
[1] トマトが赤くなると医者が青くなる?! 「トマトの効果」
[2] トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見:効果を肥満マウスで確認
[3] トマトジュース騒動 毎食200ml摂取なら塩分2.4gで心配の声
[4] 人間に必要な塩はどのくらい?--減塩ネット
[5] 食塩感受性とは?
[6] ビタミンB6の含有量一覧表
[7] Tomato - Wikipedia
[8] Lycopene, what is it, benefits, how to increase lycopene in your diet
[9] Tomatoes are 'stroke preventers

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