Thursday, January 16, 2020

All about Antimicrobial Resistance (AMR) 薬剤耐性について

 [3]によると、耐性菌とは、「抗生物質を使い続けていると、細菌の薬に対する抵抗力が高くなり、薬が効かなくなることがあります。このように、薬への耐性を持った細菌のことを薬剤耐性菌といいます」。

 つまり、「ウイルスや細菌が強くなる」。

 [4]によると、「薬剤耐性(やくざいたいせい、drug resistance)、あるいは単に耐性とは、生物が自分に対して何らかの作用を持った薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、あるいは効きにくくなる現象のこと。薬剤抵抗性薬物耐性とも呼ばれる。」

 同[4]によると、薬剤耐性の発展版は多剤耐性であり、「多剤耐性(たざいたいせい、英: multiple drug resistance, multi drug resistance)は、ある微生物が作用機序の異なる2種類以上の薬剤に対する耐性を示すことをいう。多剤耐性の発生機序としてはかつては突然変異によってのみ起こると考えられていたが、現在では薬剤に対する耐性の遺伝子をもったプラスミドの伝達もその要因の一つであると考えられている。なお、作用機序が同一の薬剤による耐性は1種類の耐性とみなす。多剤耐性を起こした菌に対しては、従来使用されていた薬剤が治療効果を失うため、医学上問題となる。多剤耐性菌の蔓延の要因の一つとして抗生物質の乱用が挙げられる。」

 [1]によると、「抗菌剤(抗生物質及び合成抗菌剤)をはじめとする抗微生物剤への薬剤耐性(Antimicrobial Resistance: AMR)の問題の歴史は古く、ペニシリン開発の時代まで遡ります。1928 年にペニシリンを発見したアレキサンダー・フレミングは、1945 年ノーベル医学生理学賞受賞講演で、次のように述べています。“ペニシリンが商店で誰でも買うことができる時代が来るかもしれない。そのとき、無知な人が必要量以下の用量で内服して、体内の微生物に非致死量の薬剤を曝露させることで、薬剤耐性菌を生み出してしまう恐れがある。”」
 さらに、「実際、フレミングのノーベル賞受賞講演の5 年前の1940 年にはペニシリンを無効化する酵素であるペニシリナーゼがペニシリンに耐性を示す細菌から発見されています。フレミングの予言通り、戦後のめざましい抗菌薬開発の歴史は、薬剤耐性との戦いの歴史であったと言っても過言ではありません。」

 ニュース等で取り上げられている主な抗菌薬は以下のものがあります。

■抗菌薬「カルバペネム
 [2]によると、「抗菌薬「カルバペネム」が効かない腸内細菌科細菌のうち、薬の成分を壊す酵素をつくる海外型の耐性遺伝子を持つタイプだ。ちなみに、カルバペネムは抗菌活性に優れ、「伝家の宝刀」すなわち最終手段として温存しておきたい強い抗菌薬だ。」

■「セファロスポリン、その他のβラクタム」「キノロン」「マクロライド等」
 [2]によると、日本での「セファロスポリン、その他のβラクタム」「キノロン」「マクロライド等」に分類される3種類の抗菌薬の使用量はギリシャに次世界2位です。
 さらに、「これらは多くの種類の菌に割と広く効く抗菌薬です。この『広い型』の抗菌薬に耐性を持たれてしまうと、『狭い型』の抗菌薬も含め、多くの抗菌薬が効かなくなることが多く、結構、たちが悪いと言われています」
 それから、素人にも明白なのは、自然とのいたちごっこゲームです。どんなに頑張って新薬を開発しても、ある程度(「乱用」しなくとも)使用されれば、自然はすぐ耐性のある細菌を生み出します。
「抗菌薬が使われる状況も期間も限られていく中で、抗菌薬市場自体の縮小が見込まれている。新薬の開発は難しく、米国では昨年、アカオジェンという会社が倒産した。多剤耐性菌による感染症治療薬を開発した翌年のことだ。マーケットを熟知するある製薬会社の社員は「抗菌薬市場でビジネスを継続することは難しくなっている」と言う。」([2])

 [4]で挙げられた「代表的な薬剤耐性病原体」だけでも以下のものがあります。
  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)☆●
  • バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)★●
  • バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)
  • バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)★●
  • 多剤耐性緑膿菌(MDRP)☆●
  • 多剤耐性結核菌(MDR-TB)
  • 多剤耐性アシネトバクター属(MDRA)●
  • ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)☆●
  • カルバペネム耐性腸内細菌科細菌★●
  • βラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)
  • 広範囲薬剤耐性結核菌(XDR-TB)
  • ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)
  • 薬剤耐性HIV
  • アマンタジン耐性インフルエンザウイルス
  • タミフル耐性インフルエンザウイルス
  • クロロキン耐性マラリア
  • 多剤耐性アシネトバクター(MRAB)
  • ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ(NDM-1)
  • カルバペネマーゼ(OXA48型)産生能獲得、肺炎桿菌と大腸菌
  • フルオロキノロン耐性大腸菌
★:感染症法による全数把握の対象
☆:感染症法による基幹定点把握の対象
●:厚生労働省 院内感染対策サーベイランスの対象


参考リンク
[1] 薬剤耐性(AMR)(製薬協)
[2] 「耐性菌」年間1千万人死亡の予測…日本でも海外発「強力抗菌薬耐性菌」を確認 [3] 耐性菌とは(中外製薬)
[4] 薬剤耐性(Wikipedia)
[5] Drug resistance(Wikipedia)

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